ネット上でも多少の浸透してきたのか、我が「駐車場新聞」に、お問い合わせやご質問がよく届くようになりました。私たちが「駐車場新聞」を始めたのは、世間で言われていること、ネットで扱われていることは実は単なる特定の業界の利益誘導に過ぎない。そんな現状に一石を投じたかったためです。これからも信じた道を進んでゆこうと考えます。
閑話休題 こんなご質問が届きました。
「友人から駐車場経営(ここでは、一般人が地主から土地を借りて、駐車場経営をすること)が儲かるのだと勧められているが、果たして本当に儲かるものでしょうか」というもので、そこには収支計画書が添付されていました。そのご友人から送られてきたものなのだそうです。
捕らぬ“駐車場利益の”皮算用。借りてまですることで出る利益などないと知るべき
結論から言うと、個人として法に触れない限り、何をしてもよいでしょうが、駐車場新聞としてはこのようなものには絶対に手を出さないことをお勧めします。
これをして確実に儲かるのは、借りられる土地のオーナーや関係の不動産業者、コインパーキング業者などで、投資者が利益を手にすることはまずないと言えるからです。
A物件 | B物件 | 合計 | |
台数 | 10 | 10 | |
売上1日(1台) | 930 | 800 | |
1が月 | 27,900 | 24,000 | |
1か月総売上 | 279,000 | 240,000 | 519,000 |
家賃1台1か月 | 12,000 | 9,000 | |
家賃合計 | 96,000 | 63,000 | 159,000 |
メンテ | 2,000 | 2,000 | |
メンテ1か月総額 | 60,000 | 60,000 | 120,000 |
電気代1か月 | 4,000 | 3,000 | 7,000 |
集金 | 0 | 0 | 0 |
初期投資 | 2,500,000 | ||
初期投資をぬいた月収支 | 487,000 |
今回のご相談者に送られた収支計画書などでも、出費に関する項目は常識外に低い数値がならんでいます。例えば集金の経費も“自分がしているのでゼロ”計上となっていますが、それで計画を立てることはこれも非現実的です。既存の駐車場オーナーが不動産管理会社を利用する理由は、集金が大変だからです。
さらには初期投資の機械類もおそらくは中古品なのか、以上に安い金額があげられています。初期投資費用になにがどこまで含まれるのかは不明ですが、この規模であれば、下手をすると倍の費用がいることも考えられます。
またこれはメモで書いてあるのですが、敷地の舗装費用はオーナー持ちとしてこれもゼロ計上となっています。土地の借り賃との関係からみても、オーナー側がそこまでする理由はないでしょう。売り上げの読みも楽観的過ぎます。“それだけの収益が上がられる土地を、簡単に安く借りれるのなら、なぜこれまでコインパーキング業者が手をださなかったのか”と感じます。
確かにひとつひとつを見てみると、ないことはないという次元のことかも知れませんが、これほど都合よく揃うなどということは、まああり得ないのではないかと思います。
知らないものに手を出すときに十分な注意をするのは常識
駐車場経営というと、不動産業者やコインパーキング業者など業界の跳梁が跋扈する世界です。なにも知らない一般人が、まして、人から土地を借りてまでして、収益を上げ続けることなどできるものではありません。
いくら口で良い条件を言われても、契約書の文面の1行の文字で、まったく反対のものになることもあります。実はこの手の“儲け話”は以前から、形は違いますが存在してきました。
特に若い方は、まだ社会のなんたるかの経験に疎いものです。少なくとも契約書の隅々をチェックして、紛らわしい表現や文章がないかの確認をするのは常識中の常識です。
それでも僕は(私は)できるのだ!という方には、敢えて袖を引き留めるつもりはありませんが、人がそれほど利益の上がる物件を無駄に放置しているなど考えられませんし、また駐車場経営とは素人が何の知識もなしに、人から借りてまでできるようなものではないことは充分肝に命じていただきたいものです。