全国でコインパーキングの料金が急にあがっているとのご指摘や問い合わせが増えています。
この原因には都心部での駐車場の提供不足であるとか、地価の問題などそれっぽい理由がつけられていますが、とどのつまりは企業都合で勝手に価格を弄っているに過ぎません。
ある大手コインパーキング企業の社員の話では、その部署ではどこまで値段を上げても収益が下がらないのかの価格ラインを表したリストが毎月出されるのだそうです。これなどは全くコインパーキング企業の勝手な数値操作に過ぎません。
それについては経済評論家の勝間和代氏の、たいへん適確な投稿がありますので、以下にご紹介します。
コインパーキングの料金最適化システムについて考える
9月6日 日曜日
こんにちは、勝間和代です。
私はほんの数年前まで、都内で乗用車用のコインパーキングをよく「使っていました」
なぜ過去形かというと、いま、極力使わないようにしているからです。その最大の理由は「料金の高騰」
です。1時間、ほんの数年前まで、都心部でも1時間600円が相場で、少し外れると、1時間400円くらいでした。たとえば、うちの会社の裏のパーキングは「30分200円」でした。そして、コインパーキングがとある運営会社に変わってから、そこの料金はなんと、「15分400円」になりました。これまで、1時間止めると400円だったのが、なんといまは1600円です。上限金額もなくなりました。もちろん、これまで、超過需要がありましたから、料金が安すぎたのかもしれません。実は、こういった料金の再設定は、すべてITによるデータ収集で調整されています。そして、平たく言うと「いくらまで値上げしても、ユーザーがしぶしぶ止めるか」ということで、ぎりぎりまで値上げをしている、というのが、私のその大手会社のシステムへの理解です。
その結果、その大手会社のシステムが都内で普及して、がんがん値上げをしてから、ここ数年でコインパーキングの相場は大きく変わりました。だいたい、山手線内は1時間800円から1000円くらいになり、都心部はさらにめまいがする金額です。唯一変わらないのが、たとえば、東京都の公営駐車場や、ホテル併設の駐車場で、こういうところは、あいかわらず1時間600円のままです。
つまり、業界大手がものすごく値上げをしたので、東京都やホテルなど、民間競争とは関係ないところを除いて、民間業者が一気に追随値上げをしてきたわけです。
もちろん、そのコインパーキング大手はものすごく業績がいいです。しかし、私はもう、都内でコインパーキングを使う、という選択肢をやめてしまいました。代わりに、バイクや自転車で動いて、だいたい1時間100円か、無料の駐輪場を使っています。
なぜなら、たとえば3時間とか、5時間止めると、いまの料金体系では、私がその間に生み出す付加価値の内、けっこうな部分が駐車場料金になってしまうからです。
何が言いたいかというと「あまりにも、過去のデータに依存して、消費者余剰をすべて取り上げるような価格設定をすると、一時的には生産者余剰が最適化するが、トータルでは需要の減少を招くか、少なくとも、その会社へのロイヤリティが下がるのではないか」ということです。つまり、過去に応じた最適化が、将来の顧客価値の最適化にはかならずしもならないのでは、という懸念です。
実際、私を含めて、コインパーキングは止めず、道のパーキングメーターを中心にするなど、周りに同じように行動を変えてしまった人たちがいます。私もどうしても車で会社に来る用事があるときには、徒歩5分くらいのところにある、都営のパーキングに止めてくるようにして、意地でも、裏のコインパーキングは使わないことにしています。もちろん、顧客を選ぶ権利は先方にありますし、私は不満に思うのならサービスを使わない、それだけですが、これか10年後を15年後、どういう市場変化が起きるのか、注目する材料の一つにしていきたいと思います。
出典:http://www.katsumaweb.com/news.php?id=2306
いかがでしょうか。すべてはこれに言い尽くされた感があります。