コラム

駐車場シェアリングサービスは「akippa」の“一強多弱”で決着か。今後の駐車場シェアリングについて

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Image:akippa

これまでは企業が地主と交渉して場所を借り受けてロック板やゲート、精算機などの設備を設置して、時間貸し駐車場を代替運営する『コインパーキング』が全国に浸透してきましたが、5年ほど前から利用者に支持されて急拡大しているのが『駐車場シェアリングサービス』です。
『駐車場シェアリングサービス』の特徴としてはまず、駐車場の提供者が企業や地主だけでなく、一般の個人でも可能なこと。これまではある程度の規模がなければ参入できなかったのが、個人の所有する空きスペースや使っていない駐車場でも提供できることです。また、従来のコインパーキングと違って、設備投資に膨大な資金が要らないこと。もちろん“現場”に看板や駐車車両用の機材や精算機、舗装なども必要ありませんので、簡単に始められることもメリットです。

しかし、最も大きな違いは、駐車場シェアリングサービスは基本的にITを活用したベンチャーのビジネスモデルなので、これが拡大すると従来のコインパーキングの存在を揺るがすほどのビジネスモデルに変貌すると考えられていることで、大手から新進気鋭まで新規参入が跳梁跋扈することになりました。

楽天、ソフトバンクなど、数多の間の参入競争もakippaで決着。シェアリングサービスは次のステップへ。

これが大きな収益に繋がると考えて、大手企業の中でもIT関係の大御所である楽天やソフトバンク、リクルートも鳴り物入りで参入を図りましたが、「楽天パーキング」は昨年の早々に撤廃し、楽天と入れ替わる形でソフトバンクは「BLUU Smart Parking」スタートさせましたが、結局自社の回線の活用という方向が捨てられなかったのか専用機材設置が必要で、それほど浸透してないのかあれから音沙汰はなく、どちらかというとトヨタとの自動運転によるMaaSの方向に軸足が向いているため、貸主もソフトバンクとしてもそれほど動いている様子はないようです。

従来のコインパーキングを運営する大手企業も似たり寄ったりの結果となっています。業界大手の「タイムズ24株式会社」も「B-TIMES」を運営していますし、「三井不動産リアルティ株式会社」も「Toppi!」を立ち上げましたが、結果は当初の想定には程遠い結果に終わっています。これら大手企業は元々コインパーキングで収益をあげてきたわけですが、稼働率を含めて思うような結果になっておらず、シェアリングの波に応じて参入はしましたが、それでなくても思い通りの良い結果があげられないわけですから、同じ物件を使ってシェアリングビジネスに参入すること自体、自らのこれまでの事業を否定するようなものですから、力が入るわけはありません。なので“駐車場シェアリングサービス”と並行して“カーシェアリング”に力を入れている次第ですから、結果は芳しくなくて当然かも知れません。

駐車場シェアリングサービスが稼働を始めて5年ほどが経ちました。生き残りをかけた競争がおこりましたが、すでに業界では「akippa」で決着したというのが、ほぼ一致した現状認識ではないかと思います。
先程、紹介した「タイムズ24株式会社」が運営する「B-TIMES」、「三井不動産リアルティ株式会社」が運営する「Toppi!」のほか、「株式会社シード」が運営する「スマートパーキング」、「軒先株式会社」の「軒先パーキング」、「株式会社シェアリングサービス」の「トレメタ」、あたりがakippaの競争相手となるのでしょうが、あまりに差がつきすぎた状況となってしまったので、今から追従して追いついたり、それなりに逼迫した状態になることは厳しい状態だと言えます。
この中でいうとスマートパーキングはakippaと業務提携という流れも出てきているほど。

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会員登録者数、提供車室数、そして提供システムに大きな開き

昨年の年明け、akippaでは会員登録者数が60万人に手が届くかという状態でしたが、現在では100万人を越え、今年の春には200万人、年内にはその倍の400~600万人あたりまで伸びることが想定されています。また提供車室箇所はすでに業界トップとなっていますので、各社の利用可能な駐車場情報を見てもakippaは他社を圧倒していて、今も提供者が順調に広がっています。
最も大きいのは提供システム。つまり利用者が予約や提供、監理利用するサイトの提供システムの中身でもあります。akippaのサイトでは駐車場を利用する顧客の利便性も、駐車スペースを提供される方の情報提供機能なども他社を大きく引き離している状態なので、これらを含めて他社は追随することはかなり困難な状況だと言えます。

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akippa新サービス「先行予約オプション」
会員数100万人突破のakippa。新サービス「先行予約オプション」は何を意味する?

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これを反映してか、業界・財界の業界への投資状況もakippa一辺倒の流れとなり、akippaではこの数年の間で三井住友銀行などの大手企業からの投資資金として20億円を裕に超える金額を受けています。

次世代のモビリティプラットフォームを創る「akippa」8.1億円の増資、総調達額は24億円に

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駐車場シェアリングサービスの次にakippaが目指すもの

昨年、akippaは現在のアプリの成長に加えて、その先を見据えた計画を発表しました。それはその先の時代に求められるMaaS(Mobility-as-a-Service)を軸としたモビリティプラットフォーム構築であり、そうなると一気に他社を飲み込んでしまうような変化が起こる事になることが想定されます。これは、車が関係するすべての流れに関して関わる、巨大で総合的なプラットフォームの完成であり、ITベンチャー企業がこれを完成させることは、まさに業界の地図を塗り替える変化となります。

MaaS(マース)
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もともとakippaは、この業界で活動を始めた時から、他社とは違ったコンセプトをもっていました。他社が目の前のことしか考えていなかった時に、サイトの利便性や柔軟性、また提供者については報酬率の高さではなく、稼働率の高さが重要という判断で動いていたので、普通の発展のレールでは進まないことは想定していませんでしたが、駐車場シェアリングサービス業界の一強体制を維持し、さらなる総合プラットフォームに向けて、加速されているように思えます。

2019年には、更なる企業投資や多くの企業との共同事業の予定が続いています。同社のさらなる発展に期待したいと思います。

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