実録 コラム

【密着】存続か、解体・撤去か。マンションの機械式駐車場の管理組合とコンサルティング会社の一部始終

2018年8月13日

マンション

マンションの駐車場余り問題は、逼迫した問題のわりには業界の収益が関わってくるため、あまり表舞台にはあがって来ませんが、住民にとっては深刻な問題であることは変わりありません。
駐車場新聞に寄せられたご相談で“至急解決したい”とのご相談がありましたので、名前、場所などは非公開にする前提で、取材をさせていただくことになりました。以下はその全貌です。

まず話を整理する意味で、こうした事案に利権関係なしで動いてもらえるコンサルティング会社に相談を持ち掛けました。
ここで注意が必要なのは、コンサルティング会社の選定です。
だいたいは、ステレオタイプの対応で、選択肢もなく、結果的にマンション住民のメリットにならないことが多いのです。
(駐車場新聞が依頼したのは、これまで何度もお願いしているところで、信頼がおけますので、ご希望の方はご紹介しますので、ご連絡ください)

1週間後、コンサルティングの調査が終わり説明の場をということで、マンションの管理組合ご指定の場所に行き、生憎の雨の中、管理組合側から3名、コンサル側2名、駐車場新聞2名が揃いました。

現実の把握と収支の確認

収支

さすがに話は簡潔で的を射たものでした。現在このマンション(1997年造)では機械式で80台の立体駐車場を設置されています。
長期修繕計画書もきっちり作成されていて、ほぼ実行されています。
管理費と積立で100%まかなうことになっているようですが、割合が管理費から60%、積立費で40%で構成されています。
初期はほぼ満車状態でスタートしていますが、現状では80台のなかで、27台が“空き状態”となっています。

管理組合も工夫をしているとは言いますが、具体的に何かをしたことはなく、車高の高い軽自動車の人気もあり、車高制限が155cmとされていることもあり、わざわざ外の駐車場を借りている例も少なくないようです。
コンサルが調べたところ、周辺の月極駐車場の価格が16,000円~24,000円。
マンションが22,000円というのも問題で、今後マンション駐車場の価格をあげるということになれば、さらなる流出は避けれらないように思えます。
そうなると、駐車場価格を上げなければならないのですが、それは現実的には机上の空論であるのは誰の目にも明らかです。

そうじた事実確認のあと、あがったのは“メンテナンス費用”です。これが年間200万円かかっています。
それにはパレットの不備とか支柱の保護など、ほんとうに必要かと思われるものが定期的に行われていることもありましたが、コンサルの意見では「その多くは景観に関するものであったり、設置後起きた事故などに対する安全対策のものだが、不要のものも含まれている。マンション管理組合側の責任者が次々と変わる中で、丸投げせざるを得ないかもしれないが、実はここが業者の美味しいところでもあり、ここは調整は必要」ということでした。

大提案。存続か、解体・撤去か

そこで、コンサルから提示されたのは下記の2案。
これが全てではなく、方向性の全く違う2案の中からマンションの未来を考えて、まず第一段階の方針を決定するということでした。

①「存続」…この場合は、駐車場自体が収益を上げる必要があります。
現状では周辺の価格より割高で有ったり、そもそも車高などで置きたくても置けない中で、駐車料金を下げる必要があるのです。
その対策として、駐車場シェアリングサービスの導入があがりました。
マンション自体、人気のエリアに造られていますし、イベント施設や観光にも適しています。
周辺のコインパーキングの1日最大が1,400円~1,800円であるので、単純試算で年間300~360万の収入になります。
メンテ費用を精査したり、自販機の設置、広告収益を加味すると充分現状で運営できます。

②「解体・撤去」…この場合は現在の機械を撤去して、そこに平置き駐車場をつくり、少ない車室で確実に収益を確保するという考えです。
解体・撤去費用で330万~350万くらいになるようですが、そのあとは費用がかからなくなります。
問題は車室数で、現在は機械式立体であるから80台分を確保できていますが、平置きでは良くても40台、実際の地理で判断すると30台くらいになるかも知れません。
外から知人が来ることもあるでしょうし、業者が来る場合もあることを考慮すれば車室はもっと減る事になり、それで住民が納得するかでしょう。
存続することを考えれば、貸し出して収益を得るのか、住民に不便を覚悟で大きな工事をするのかで、これは一長一短です。

最後は管理組合側の対応

会議

これらが提案された後、管理組合側の仕組みの問題が提議されました。
どんな良いアイデアがあっても、それを決定するのが半年、1年先であれば、業者も住民も本気にはなりません。

そこで住民の特別集会などの招集規定を整えて、提案の後、少なくとも1か月以内には判断できる体制にしてもらう必要があるという内容です。
この管理組合でも、全体集会は年1回ということで、次は11カ月先ですから、これではことは動きません。
通常見積もりの期限はせいぜい1か月で、それ以降だと数値も変わるようです。

管理組合側は、招集規定を変えることができると判断して、1~2か月以内に変更したいとのことでしたが、コンサルは“2週間”を提示。
“2週間でできないことは、1~2か月かかってもできない”とのことでした。
ここまでほぼ2時間。その後、幾つかの質問の交換があって(これが結構長かったのですが)お開きになりました。

その後の進展

あれから、2カ月経ちました。
結果的に管理組合は「存続策」を選択しました。
経過としては、問題解決に先手を打つとして、2週間以内に臨時集会を招集。
問題がコンサルによって整理されていたので、あとは精査して、投票で決まりました。

コンサルの話では、このようにとんとん拍子に行く事はほとんどなく、普通は管理組合自体が、最初から“そんなこと無理だ”と、先送りするのだそうです。
しかしマンションの駐車場が今後、このようなあまり問題になる可能性は極めて高く、来年の今頃は青ざめていることになるだろうということでした。

その他、お話しを伺いましたが、ほとんどの管理組合では、状況は聞いているが、いずれ対策が必要になるという、いわゆる“他山の石”の感覚なのだそうです。
駐車場新聞にも、マンションの管理組合からの空き駐車場問題対策のご質問は多く寄せられています。
これは早い対策が必要となる前兆なのかも知れません。

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