A. このご相談内容だけでは、ご利用者の“指摘”が、単なる会話なのか、対応を要する苦情なのかが分かりません。
またご依頼者の関心が、駐車場の風評レベルか経営に対する影響レベルなのかも不明です。
しかし経営者としてどのような対応が必要かと問われると、決していつか悪い噂はなくなると楽観視して良い問題ではないと思います。
普通、駐車場での事故は、比較的発生率も高く、多く発生しても人の口に上るほどにはなりません。
ご相談者の駐車場のように「あの駐車場では事故が多発する」というようになる場合は、“特別な事案が発生中”と考えて、早急に手を打つ必要があると思われます。
ただ競合駐車場が嘘を吹聴しているとか言うレベルであれば冒頭のように、いつか収まるものでしょうが、そうでないことが想定されるようでしたら、しっかり調査が必要です。
駐車場の状況確認!犯罪の温床になっている可能性も
一例として、その駐車場は見通しの悪い間取りではありませんか? またはうす暗くはないですか?
そのほか、変な人や車両が徘徊しているようなことがないかなどをチェックしてみてください。
なぜそのようなことを言うかというと、全国で起きる保険金詐欺・詐取の多くが、こうした駐車場でかなりのウェイトで発生しているからで、換言すれば、注意力の不足した駐車場は保険金詐欺・詐取の絶好の仕事場になっている可能性が高いからです。
“詐欺・詐取”としたのは、保険金をせしめる詐欺行為と共に、簡単な事故だからお互いに面倒との口実で示談に持ち込む手口もあるからです。これは全国で多発しています。
どんな小さい接触事故でも、誰もが慌ててしまって冷静さを失ってしまいます。
しかしその事故が犯罪グループによって巧妙に仕組まれたものだとしたら、太刀打ちできない状態になります。
そして詐欺グループが落としどころを準備しているため、被害にあった人もむしろ「被害の出費も保険の範囲内で収まってよかった」と感じているケースがほとんどです。
この『範囲内』とは詐欺グループ側の要望が「自賠責保険の限度額内(後遺症のない場合、運転者1人原則120万以内)」であれば、保険会社側も申請(事故証明や医師の診断書)があれば早急に支払われ、疑われる心配はまずないからです。
相手側はそのほかにも狙う車の形が“死角”を持っているかなどを念入りに事前調査していたり、事故現場に“サクラ”を何人も配備するなどたいへん手が込んでいますので、「自分は大丈夫」などという強がりは全く通用しません。
ご相談者のケースがそうであると断定はできませんが、こうした駐車場での保険金詐欺行為は保険会社でも把握できず、またその手前で示談に持ち込まれれば、ことが表面的には穏便に済んでいるだけに手の出しようがありません。
対策
しかし、これからも駐車場を経営されて行くのであれば、事業者の責務として、このような可能性を考慮して、止めやすい、出しやすい環境整備や、棟内に監視カメラを配置したりして人の動きをコントロールするなどの手を打つ必要があります。
もちろんこれらは、法律で義務付けられている訳ではありませんが、そのような“ご指摘”があったことを重く受け止められて、しっかり調査することをお勧めします。