今、全国に奇妙な現象が広がっています。
それは都市部を中心に、コインパーキングの価格の高騰と下落が同時に起きていることです。
以前、このコラムでは「コインパーキングの価格の高騰」について、ご紹介しましたが、あれは東京都内の主要地が主題でしたが、駐車場の価格の低下はそれ以外のほとんどの地域で起こっています。
業界ではこの原因を駐車場の急増に伴うもので、価格の低下は競争が激しい場所での過剰な陣取り合戦にあるとしています。
つまり新しく地域に参画してきたパーキングは近くのライバルを蹴落として、自己有利を確立してから利益獲得に転じる「ドミナント戦略」によるものという考えで、これはこれなりに正しいものです。
しかし東京都内などの違法駐車や迷惑駐車の車両数からすると、それだけでいては論理的に成り立たないと言えます。
つまり、増えたために稼働率が落ちる以上の下落傾向が起きているのです。
この半年~1年の間、皆が口を揃えるのは“三井さんが異常な市場拡大戦略”をされていて、それにタイムズさんが釣られているということです。
それが価格の下落になっている場合と、一緒に高止まりさせる高騰になっている場合が混在していることで、利用者が価格に信頼がおけなくなってきた…というと、これはこの四半世紀の間、日本の市場の多くの業種が経験してきたことに過ぎません。
こうなると想定されるのは、価格の下落が全体的に進むことで、駐車場業界は混沌の第一段階を踏み出したということになるのだろうと思います。
コインパーキングの中堅企業などは、これまであまり経営努力や工夫をするという経験に乏しかったように思います。
それだけにその煽りを正面から受けていて、現場では“価格を上げろ”という指示を受けて検討が始まっているようですが、これは絶対にしてはいけません。
むしろ価格は維持しながら稼働率を上げる工夫をすることです。
価格とは一旦下げると上げにくいですので、駐車場シェアリングサービスなどで、利便性を上げてゆくような工夫をして対応すべきでしょう。
これまでのような大名商売的な感覚でパーキングビジネスはできない環境となってきた今、この段階での舵取りは経験がないのでできない…では済まされなくなっています。