コラム

2020年駐車場シェアリングサービスはこう変わる

駐車場シェアリング

オリンピック東京2020は様々なところに恩恵を与えていますが、こと駐車場シェアリングサービスに関すれば、その限界だと言う見方も少なくありません。原因はやはりオリンピック投資の負の遺産とでも言うのでしょうか、この期に利益を確保しようと業界関係者が既得権益化したことにあるのかも知れません。

オリンピックで駐車場需要が高まるのを受けて、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関する駐車場対策協議会が発足して、空き駐車場を探して移動する「うろつき交通」による交通渋滞等の抑制に向けた、会場周辺の駐車場対策等の検討を進めました。

しかし、そこでは、新国立競技場周辺エリアで、時間貸駐車場を予約システムを活用した予約専用駐車場に転換する実証実験を実施したくらいで、課題の検証も限定されたものと言わざるを得ませんでした。

この協議会のメンバーは国土交通省の関係課長や、警察庁、東京都都市整備局、三井不動産、タイムズ24、オリンピック競技大会組織委員会などでしたから、こうした面々が集まれば、多くの利用者の視点ではなく、いきおい関係各局への忖度や、限られた関係企業の収益に走ることは、これまでの協議会の実績をみても明白です。シェアリングエコノミーとは、広く浅く、自由な供給者と需要者を結びつけることが重要なのですが、その規制は弱めるふりをしてはいますが、現実にはますます強化され続けています。

Uber、Airbnb、DogVacay…。誰でも一度は耳にしたことはあると思いますが、これらはいわゆるシェアリングサービスビジネスです。

日本のシェアリングビジネスの限界

しかし日本では、厳しい規制に縛られて、限られた僅かな地域でしか認可されておらず、この先も緩和されるには相当の時間が必要となるでしょう。
「駐車場シェアリングサービスの現状は、すでに骨抜きにされている。今後は収益化できるところと、そうでないところに完全に二分化することになるでしょう(不動産関係者)」との話に裏付けられるように、各社の現実も形骸化され始めています。そうした二極化が日本に於ける駐車場シェアリングサービスではないかとも言われています。

昨年、業界最多の駐車場提供の個所数を記録した駐車場シェアリングサービスの最大手、akippaでも、現実に利用がほとんどない物件の急増に頭を悩ませています。同社では一旦登録しても、「休止」とすることで、個所数が減りはしませんが、利用者がいなくて収益が少ないとの理由で実質撤退しているからです。

本来、駐車場シェアリングサービスの本質は“値段も安く、予約しても利用できる”というもののはずですが、実際残ってきているのは“値段は高いが、予約して利用できる”ものになっています。こうしたシェアリングエコノミーの退化ともいえる現象は、インバウンドの民泊や空き家問題などでも同様に起きています。本来ならばシェアリングエコノミーが解決の一助となるはずのジャンルですが、シェアリングの問題点だけをことさら上げへつらって、規制と既得権益者保護を基本とする行政の圧力で稼働しなくなっています。

オリンピック特需に乗り遅れるな!?

しかしその反対もあります。月に1ブースで10万円以上を稼ぐような物件もあります。駐車場シェアリングサービスが極端な二極化を迎えている現在、その価値を知らずに放置している場所が少なからずある現状がそれです。

駐車場シェアリングサービスのakippaの関係者の方の話では「私たちが絶対高収益を上げられると思う都市部の駐車スペースを持っている企業や営業所などでも、akippaのシステムを理解しようとせず放置されるケースが少なくない」と言います。中には毎月40~60万は何のデメリットもなしに収益化できる場所も少なくないのだそうです。

また、オリンピックの影響で都心部だけでなく、業者需要で東京では23区の郊外でも、こうした場所が多く派生しています。東急世田谷線や田園都市線の地味な駅周辺でもオリンピック関連需要で、月5~8万くらいは1スペースで稼げる物件はでています。これらの中には事業者がシェアリングサービスを継続利用して、そもそもの会社負担を軽減させる目的のものもあり、中には半年継続契約の申し出なども珍しくはありません。

こうした情報をどう咀嚼すべきでしょうか。特需の対処はその規模にあると言われています。例えば同じような特需は、この7~8年、栃木、茨城、福島などでも急増しています。つまりその根底に国の予算がついていれば、それは高い収益に繋がると考えても問題はないでしょう。ましてシェアリングサービスのように、投資デメリットがなければ尚更です。

地域に関係なく、特にオリンピック特需の中で多くの有望な場所がシェアリングエコノミーの仕組みを知らないために、年間数十万の利益を棒に振っているのであれば、これは見過ごすことはできないでしょう。

何事もこのようなフットワークの軽さが必要になってきます。まして駐車場シェアリングサービスの基本は、機械を設置したり土地の現状をいじったり、費用出費がないことです。もし周辺のコインパーキングの価格が1日最大1200円を越すようであれば、一度登録してみてはいかがでしょうか。

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