先週、駐車場新聞に突然「民駐について教えてほしい」というご連絡が殺到しました。いったい何が起きたのかと驚きましたが、聞くとテレビ(フジテレビ系列「とくダネ!」)で民駐の特集をしたのがきっかけだったようです。
「とくダネ!」で紹介された民駐こと「akippa」 2つの面白い事例をご紹介! | 駐車場予約『akippa(あきっぱ)』使ったら凄かった!
7/18に放送されたフジテレビ系列 朝の情報番組「とくダネ!」でakippaが民駐として広がりを見せているということで紹介されました。番組映像が公開されていればそれを見れば話は早いですが、それはできな ...
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駐車場新聞では、これまで“民駐”という言葉を使わずに、“駐車場シェアリングサービス”で統一してきました。まだ多少時期尚早かも知れませんが、今回はこの“民駐”についてご紹介いたします。
“駐車場新聞だから、本物の視点で…”の声にお応えします
今回お寄せいただいたご連絡を拝見して気づいたのは、そのほとんどが借り手ではなく、貸し手の立場でのお問い合わせであったと言う事です。平たく言うと“そんな美味しいことがあるなら、自分も”ということになります。その他に多かったのが、“民駐の話は聞くが、駐車場新聞にしかできない本物の視点で…”というご期待でした。そこで、今回の駐車場新聞、「貸し手からみた、民駐の今とその未来」というテーマで話を進めてゆきます。
(なお、駐車場新聞では、以前からサイト内でも、駐車場シェアリングサービスについては、業界のリーディングカンパニーであるakippaを押してきましたので、ご説明もakippaに基づいておこないます)
目次
1、まず基本として「民駐」を詳しくご説明します
当サイトではこの「民駐」を慣例で「駐車場シェアリングサービス」と表現してきました。ではこの“シェアリングサービス”とは何かというと「モノや場所、コトなどを、多くの人と共有したり、個人間で貸し借りする際に、その仲介をするサービスの総称」を言います。
しかし、シェアリングの概念はそもそもかなり曖昧な部分もあって、“個人間の貸し借りだけか”と言えばそうでない部分も多いし、何を持って“仲介をするサービスと仲介業の境目”も明確ではありません。「従来の企業活動の中に派生した、貸し手、借り手を問わず個人が介入して利益を得ることができる新しい業界内の仲介サービス」とか、「個人でしてきた貸し借りを、企業活動と個人行動との間のグレーな部分で収益化できる仕組み。或いはその仲介サービス」とも言えるでしょう。
では、これらシェアリングサービスを駐車場に特化した“民駐”の場合、貸し手側はどのような期待を持っているのかというと、「何もしないで、毎月ちょっとしたお小遣いを得られるもの」に集約できるのではないかと思います。また、貸し手側が会社や事業所の場合も「自分のところは場所が良いので、コーンを立てて放っておくくらいなら、月数万の収入を捨てるのはもったいない」くらいの認識のところが多く、要は「ちょっとした(バカにならない)収益を得る」という発想は同じでしょう。その民駐で最も代表的なものは「akippa」になります。
2、akippaが業界一人勝ちしている、その仕組みとは
説明ではなく、実例で「民駐」の仕組みをご紹介しましょう。
Aさんは、且つて駐車場新聞のakippaの記事をご覧になって、民駐登録されました。横浜市中区にお住まいで、自宅は自家用車用の駐車場付きの一戸建てですが、駐車場は使っていない状態。その時、akippaも民駐も知らなかったAさんが最初抱いた懸念は次のような点でした
- 時間貸し駐車場をするほどのお金はないし、そのために知らない人と会って何かするのは面倒だし、駐車場をしているのを、近所の人にみられるのは何となく体裁が悪い
- 駐車場の貸し出しには、複雑で面倒な手続きが必要だと思うので、煩わしい
- いくら横浜市内だからと言って、こんな個人の家の駐車スペースなど、お金を出して借りる人がそれほどいるとは思えない…
ところが調べてみると、akippa(民駐)を始めるに際して、またその後についても、お金は一切かからないことが分かりました。また貸し借りのやり取りはすべてakippaのアプリがしてくれるので、借り手と接触する必要もないことも分かりました。また、現場はそのままで利用できるので、看板などを立てる必要がないことも判明しました。
次にakippaは民駐(シェアリングサービス)をしている企業なので、通常必要な行政手続きや契約書の類や、預金通帳のコピーなどプライベートなやり取りも不要で、簡単な“申込書”などだけで済むことも分かりました。
Aさんの場合は、ネットを検索していて、“akippa駐車場登録申込専用サイト”を見つけられました。そのサイトは、akippaの関係サイトで、ここから申込すると、登録完了まで担当者がついて無料でサポートしてくれるので、
そちらから申込みをしたそうです。
※申し込み後の動きを簡単に紹介すると
- 登録担当者から、進行予定のメールが入る
- 数日後、申込書と返送用の封筒が送られてくる
- 簡単なものなので、すぐに記入して返送
- メールの指示に従って、スマホで駐車スペースなどを撮影、サイズを実測して、メールで返送
主な手続きはそれだけで、数日後、akippaのアプリ上に掲載が開始。
無料で個人の家の駐車場を貸し出せて、こんなに利用があるものかと驚かれていました。
3、民駐「akippa」場所別でみる“収益に向く場所と、向かない場所”の判断基準はあるのか?
Aさんが最も疑問に感じたことは、前述の“こんな個人の家の駐車場を借りる人がいるのか”ということで、駐車場新聞へのご連絡でも多いお問い合わせでした。このご質問について、「場所」「収益」などの観点からご説明します。
こんな方は、すぐにでもakippaへ民駐登録を
先のAさんの場合、最初は“誰が借りるのか”と思っていたようですが、蓋を開ければ、半分以上が事前予約で埋まり、残りの半分も当日利用で埋まる状態が続きました。提供価格はakippaへ依頼(akippaの場合、価格設定を依頼すると、周辺のコインパーキングの価格の2~3割安い価格を自動設定してくれるとともに、周辺でイベントがある時には“特別価格”に自動変換(都心部、繁華街など)される)して、周辺より2~3割安く設定しましたが、月8~10日ある“特別価格”日は2,900円になったこともあり、報酬額は22,000円~28,000円になっています。それまで、使いようがなかったスペースがこの収入になったのですから異論はないでしょう。
では、誰でも場所を提供するだけで、それほどの収入になるかと言えばそうではありません。実際、貸し出しをしてみたが、ほとんど収益にならずに辞めるところも結構あるのも事実です。
収益になる場所とはどのような場所かと言えば
➀野球やサッカースタジアム、イベントホールから徒歩20分以内
➁繁華街や商業施設の近辺(但し、無料で駐車できる大型ショッピングセンター付近はケースバイケース)
③私立の幼稚園~大学などの近く(子供の送り迎えやイベント時など)
④東京の都心部、大阪駅、難波駅などの主要駅(通勤や買い物に)
➄羽田、成田、関西の各空港周辺
⑥エリアのコインパーキングの設定価格が“1日最大の設定がない”か“1,800円くらい以上のボッタクリ価格”
⑦企業、事業所で、こうした場所で複数台の駐車スペースがある(貸し出しスペースが多いほど当然収益は上がります)
などで、これは容易に想像できると思います。
意外な場所も実は活用される!? 新しい民駐のご利用例
ただ、akippaも運営が進めば、ご利用者が利用方法を“発明”されて、思わぬ場所で、思わぬ高収益になることが増えてきました。その一例をご紹介すると
➀外からの流入がないはずの郊外の住宅街に突然の高稼働率
郊外の少し古い住宅街のakippaスペースで、異常に高い稼働率が記録されました。原因を調べると、その地域に住宅の建て替えブームが起こり、工事車両が週単位で借りられているようでした。一時的とはいえ開発による市場の変化が突如訪れることがあります。
②通勤渋滞で発生する時間外手当を抑えろ
郊外の私鉄の小さな駅から徒歩10分、安いのにあまり需要がなかったakippaスペースです。隣の県の業者が、この地域の大型の仕事を請け負うことになったのですが、朝晩の交通渋滞で発生する時間外手当を抑えるため、この駅まで社員を電車で通わせて、ここに止めておいた工事車両に乗り継いで仕事に行くための需要というのもあります。
③都市を見下ろす山の中腹の納屋のあとがデートスポットに
京阪神の夜景がきれいな山の中腹の、敷地の横に比較的大きな納屋がある空き家物件を買って引っ越しをされたのですが、納屋は使わないので更地にして、そこに3台分のakippaスペースを設けられました。ここが賢明だったのは単にスペースだけを提供すると、ちょっと変なスポットになってしまう可能性があったので、簡易照明を入れたり、ベンチを設置して、誰でも使えるミニ公園のような設えにしました。多少経費は発生しましたが、カップルだけでなく、今では車内で音楽を聴く人や、天体やUFO観察(?)の人の需要などにも広がっています
以上、民駐に向く、向かないについてご紹介しました。最初にご紹介したような場所に好立地スペースがあるのなら、迷わず登録してください。
しかし結論としては「案外やってみないと分からない」です。まずは動いてみることです。そしてしばらく続けてみて別の利用用途が見つかれば、貸し出しを辞めればよいのです。特に何年縛りなどはありませんから。
「民駐って何?」などと言っている間に、チャンスを失ってしまいます。失った時間は戻りません。
4、民駐「akippa」何かあった時はどうなる?の疑問にお答えします
意外によくある質問としては「そもそも民駐akippaって合法なのか」というのがあります。これについては細かな理屈は別にして「まったく問題はありません」とお答えします。これは特に日本人独特の感覚で、個人が関わった事業だと効率や安全が図れないと考えてしまう傾向にあります。しかし全く問題のない普通の事業であることは念を押しておきます。
その上で、ここでは物損事故のような現場のトラブルについて、過去にあった事例に沿って解説してゆきます。
まず最初にakippaの利用規約をご覧ください。(akippa公式サイト サービス利用規約より)
弊社および貸主は、駐車場内における車両、その付属装着物または積載物の盗難、紛失又は毀損については、一切責任を負いません。弊社および貸主は、駐車場の利用者が、駐車場の他の利用者もしくは第三者の行為または駐車場内に存在する車両またはその付属装着物もしくは積載物等に起因して被った損害その他、駐車場内で発生した原因に起因して被った損害について責任を負いません。
なにか聞いたことのあるような文面ですが、そうこれは一般的なコインパーキングや月極駐車場などに掲載されている規約とほぼ同じです。それはそうで、こうした駐車スペースを提供する事業とは、そもそもこのような形での関わり合いしか持てません。つまり「貸主と民駐(akippa)は責任は持たない」と宣言しているのです。これは別に逃げでもなんでもありません。実際の事故を想定すると駐車場内の事故は民事なので、事故の当事者同士でしか解決できないので、現実的にはこの辺りまでしか関われないと判断されるのです。
しかし、それでも現実的に問題が発生することもあります。“借り手が駐車スペースの備品を壊してしまった”、“車を置きにいったら別の車が止まっていた”、“止めていた車が傷を負わされた”などがそうです。
前にも述べたように、こうした“トラブル”には、貸し手は一切かかわりませんが、事故の当人としてはなんとかしてほしい不満が残る場合があります。
貸し手、借り手別のakippa緊急ダイヤルで、24時間対応
そんな時は、貸し手、借り手それぞれの為に別々に用意されたakippa緊急ダイヤル(0120-218-216)に連絡してもらうようになっています。akippaの登録が完了しますと、さらに貸し手側専用のダイヤルも知らされることになります。
貸し手も借り手も、トラブルが発生したら、ここに連絡して判断を仰ぎましょう。事故や証明が必要な場合は、警察や保険会社に連絡してくださいとアドバイスをくれたりします。
実際のケースで貸し手、借り手のダイヤル対応の実例をご紹介しましょう
➀借り手のトラブル:自分が予約した駐車スペースに他人の車が止まっている
akippaの緊急ダイヤルに連絡すると、オペレーターが出て、まず周辺でakippaが使えるところを探してくれます。また同時に(数分後の場合もあり)どこでもよいのでもし空いているところがあれば、そこに駐車してくださいとの連絡が入ります。当然料金負担は契約金額より越えていてもakippaが行います。(一例です、別の対応の場合もあります)
➁貸し手のトラブル:予約利用があった翌日、門柱が傾いているのに気が付いた
明らかに車が当たったようなので、緊急ダイヤルに連絡。あとはこちらが手配しますとの返事。その後、相手と連絡をとってくれて、相手側の過失と判明。相手側の保険で賄ってもらうよう手配をしてくれる。もちろん貸し手が出向いたり、書類を書いたりすることはなく、すべて完了したとの連絡が入る。(これも一例で、別の対応もあります)
いずれの場合も、トラブルの後、貸し手、借り手には丁寧な事後連絡もあり、akippaの利用サービス券などが送られてきます。もちろんこれも別対応もありますが、緊急ダイヤルで、トラブルの不安をなくするように、完璧なシステムがとられています。
5、民駐「akippa」駐車場新聞の見解
まず、言葉の問題として“民駐”、“駐車場シェアリングサービス”があり、どちらも同じだとは思いますが、“民駐”という言葉に理解が広がれば、“民泊”と同じように、そちらに統一しても良いかと思います。しかし問題の本質はそこにあるのではなく、シェアリング社会への理解が広がるか否かの問題のように思えます。反面、“民駐”という言葉はまだまだ理解されてはいないので、駐車場新聞では、民駐という言葉も使ってゆこうとは思います。
次に「民駐」の活用については、不動産登記のように煩わしい手続きや、コインパーキング業者との契約のように、厳しい縛りがあるのならともかく、きわめて簡単な仕組みなのですから、シェアリング社会を理解して頂き積極的に参画してもらうのが、社会の為になると考えます。前述した“akippa駐車場登録申込専用サイト”のような、ほとんどなにもする必要のないような仕組みまで用意されているのですから、「それでやらない理由はない」と考えます。
駐車場業界は今、転機を迎えています。どうしても先行企業や既得権益に浸っている層は、現状からの変革を嫌いますが、2020年以降の不況の想定もあり、日本独特の閉鎖的慣習は少しでも早く無くさなくてはその後の社会発展は望めません。AIoT社会への推移と共にシェアリング社会への移行、そのための民駐の発展に大いに期待したいと考えます。