公共施設だけでなく、商業施設などによくみられる「車椅子マーク」の駐車場は、駐車場施設を車椅子利用者や身障者が利用する場合のスペースを確保する目的で設置されますが、最近では健常者が平気で駐車するような事案が発生しています。
また逆のケースもあり、車椅子利用ではない、身障者や高齢者、妊婦など“体が不自由”な方が、外見上それと分かり難く、人の眼が気になり止め難いという事案もあります。
これを受けて総務省は、車椅子マークだけでなく、身障者や妊婦、怪我なども対象に含むことが分かるような表示を心がけるよう通達を出し、少しずつながら新表示も増えています。
パーキングパーミットやダブルスペースについて
上記の問題に対して、「パーキングパーミット」は、対象となる方が駐車場を利用する場合、役所で証明書を取得すれば、他の地域でもそれを明示すれば利用できるやり方で、現在も同種の方法がとられているものですが、これも対象者がわざわざ申告して発効してもらうやり方は変わらず、多少の発効方法の是正は必要となるかも知れません。
また、取り組みとして「ダブルスペース」という、従来の車椅子使用者のスペースに隣接してこれら車椅子利用者に準ずるスペースを付加する指示があります。
従来の車椅子スペースは3.5mの幅が必要ですが、それにプラスして付加スペースは2.5m、都合6mが必要ですので、都市部ではなかなか定着し難いことに含めて、利用者側のマナーの徹底も難しく、解決策とはなり難いかも知れません。
導入箇所と課題
ただここで問題となるのは、仕組みとして本当に役立つかという点で、いずれの場合も、“最初の一歩”的な対策になってしまうことです。
現状では、公共施設での範囲が前提となっていますが、いずれ大規模商業施設導入されるでしょうが、中小規模のところではこれほどの余裕はないので、導入は困難になります。
公共施設も大規模商業施設も、基本的には税金やテナント側に費用を押し付ける形で成り立つこと。
また不正利用者についての言及はないことから、抜本的な解消にはなり難いと言えます。
中小規模の駐車場の対応はまだ不要だが…
また、今後この行政指導からの流れが、民間駐車場などにも普及してくるのかの問題です。
民間駐車場は基本的にこうした車椅子や身障者に貸し出すことを前提にはしていませんので、それが義務化されることはないというのが現状での見方で、それは正しいと思います。
ただ、今後、車椅子対応車や高齢化に伴う変化で、車室が狭すぎるという声が高まってくると、行政もなんらかの対応をとることになる可能性があります。
それは現在の車椅子マークの導入の際も同じ流れがあったことからも類推できますが、そうなると逆に「車椅子車対応駐車場」とか「車室幅が従来の1.5倍」を売りにする方法も効果的であり、民間駐車場経営もこれまでの、駐車場不足を黙認してきた行政の変化で一気に競争化してくる事態は充分に想定できます。