駐車場予約アプリ「akippa」を運営するakippa株式会社(代表取締役社長 CEO:金谷元気)は、会員向けの新サービスを開始することを発表しました。サービスの名称は「先行予約オプション」で、11月30日からサービスが始まりました。(Web版のみ。アプリ版は12月中旬から)
では、そのサービスのコンテンツとは何か。簡単に言うと、「駐車場を通常より先行して予約できる新サービス」です。
例えばakippaは、スポーツやコンサートなど周辺の交通機関の混雑が予想されるイベントでの需要が高いと言われています。その為、駐車場の予約が可能な14〜30日前の深夜0時、つまり予約開始直後を狙っているユーザーが多くいるのですが、人気の駐車場はすぐに満車になり、駐車場予約ができずキャンセル待ちになってしまいます。何千何万というユーザーに対して数十~数百の車室では、そのようなことが頻繁に起きてもしかたがないと言えます。
ユーザーは、まず“先行予約オプション”を有料で契約していただくことで利用が可能になります。そして予約になるわけですが、会員種別によって通常会員の予約開始時間の1時間もしくは3時間前から駐車場予約が可能となります。また、特典として月額費用同等以上のクーポンを発行するため、実質無料で利用できるというわけです。つまり利用頻度の高いユーザーの利便性の向上を高めるアプローチです。
以下に簡単に利用イメージを掲載いたします。
先行予約オプション利用イメージ
例:本日が12月1日で、12月30日に利用する駐車場(30日前から予約が可能な駐車場)を予約したい場合
先行予約オプション利用料金
先行予約オプションのメリット
(1)通常会員の1時間もしくは3時間前から予約が可能に
会員種別によって1時間もしくは3時間、通常会員より先行して予約が可能となります。
※一部、先行予約対象外の駐車場あり
(2)クーポンの付与
駐車場予約時に利用可能なクーポンを付与します。そのため、実質無料以上で利用が可能です。
というわけで、確かにユーザーにはメリットがあると言います。しかしここでは単に発表を鵜呑みにするのではなく、その背景を少し探ってみようかと思います。
成果に貪欲になるのは良い事だがバランスの重視も必要
月会費をとって、満員の可能性の高いakippa駐車場を取り易くするのは良いのですが、しかし希望者が増えたとしても、根本的なakippa駐車場の数が少ないのであれば採り難くなるのは同じです。しかも、そうなれば会員以外の人は、これまで以上にakippa駐車場を確保できなくなりますので、割を喰うのは結局、一般会員ということになります。
成果を重視して貪欲になるのは良いのですが、それならばもっと多くのakippa駐車場スペースを確保することも重視しなければならず、akippa自体、決してその点では充分とは言えない中で、このような企画を組むのであれば、かなり繊細な舵取りが必要です。その意味でも、現状ではakippa側にバランスの確保が優先されると言わざるを得ない状況であるのではないかとも思われます。
そう考えると、今回半ば唐突にこのような企画を打ち出した中に、akippa自体の売上げが充分満足できていないのではないかと言うキライすら感じます。本来akippaとはシェアリング社会の実現を謳って利用者の利便性と価格の安さを打ち出してきました。
そうならば付け焼刃的に慌てて収益アップを狙うよりも足場を固める努力をもう少し重視されたほうが、結果として良い結果が導き出されるのであると考えます。まだ一気に駆け上がるには少し拙速な風に映る…と言えば、厳しすぎる指摘でしょうか。そうなると用地確保のため貸主に対する認知度アップもさらに重要になってきます。