よく聞く事ですが、車のカタログに書いてある燃費は特定の条件下の数値なので、実際の数値とかなり開きがあるようです。
でもあまりにその開きが多い場合、これは誇大広告にあたらないのでしょうか。また返品や車の交換などの要求は可能なんでしょうか。
燃費自体運転技術によっても左右されるということで、その数値が絶対ではないとの判断で、これが違っても返品や交換になることは、現実問題ではまずありえないと思われます。
またその開きがあまりに多いという場合でも、その多い少ないが個人の感覚が絡んでくれば、購入者側にその不備を立証する責任が発生するため、これも現実的な対応は困難です。
カタログの燃費が30Km/Lとあるのに10Km/Lを切る場合でも、その車両の何に不具合があるかは購入者に責任があるなどというのは明らかな超巨大な業界の消費者軽視以外のなにものでもないと私は思いますが、法律を有利に持って行ける社会的権力のある業界ですから、個人はなすべくもないのが現状でしょう。
メーカー側もそのことをよく理解しているので、購入者からこの手のクレームが入った場合の対処は極めて迅速で、車を預かり原因の追究をする“ふり”はしますが、それで不備が発生することはなく、最後は購入者側が根負けするというのが関の山です。
私もこうしたカタログの表記は“誇大広告”であると思いますが、それは「日本の法律で決まっている誇大広告」ではありません。
欧米で同様のことがあれば、訴訟になるのは、それを受け入れる内容の法律があるからです。現状日本では欧米先進国では決して認められないような“誇大広告”や“著しく誤解を生じさせる広告”について、考えられないほど甘い法体制しかありません。だから“罪にならない”のです。
日本の法律に瑕疵担保責任(かひたんぽせきにん) というのがあり、それは「購入する際に、商品に一見して発見することができないキズや故障などの不備があり、買い主がこれを知らなかったり、知らなかったことに過失がない場合は、買い主は瑕疵の存在を知ったときから1年以内であれば代替物との交換や損害賠償請求ができる 」という法律ですが、これ自体、笊法(ざる法:漏れが多くて現実的に活用されない法律)だという指摘もあり、私もそう考えます。
話は変な方向に行きますが、日本では法律が一般庶民や社会の利益のために制定されているとは言い難いところがあり、いざ法廷闘争となったときには、一部の階層や既得権益者だけが極端に有利な状況と言えます。
これを変えるのは一般庶民、個々の有権者が意識を高め、法律を決める権限のある国会議員を選ぶ選挙で志の高い議員を選ぶことから始めること以外に具体的な方法はないでしょう。