駐車場不足が叫ばれてからずいぶん経ちます。2020年の東京オリンピックまでの解消を目指して公的な予算も費やされていますが現状では効果は出ていません。
日本に於ける駐車場収益の規模は数兆円だといわれていますが、そのうち所謂大手企業の収益は3000億円規模とも言われ、シェア率は10%前後と言われていますので、業界全体の意識が変わらなければ問題の解消には繋がりません。
しかし現実にそれら現場の方々とお話しをしていると、その可能性はほとんどないことが分かります。
その理由としては“経営者が高齢の方が多い”“対して現場は薄給で働いている”ので、業界の社会問題化の解消などにそもそも興味を持っていないことがあげられます。
もっと厳しい言い方をすると自分とは関係のないことで、自分達の利益さえ確保できればそれでいいと考えているからです。
民間企業の業務とはいえ公共性のあるものについては、単に利潤の追求だけではない枠を設ける必要があります。
それは駐車場経営の税率を法改正によって優遇するというお決まりのばら撒きではない大きなビジョンが必要となってきますが、それとて現場にその気がなければ無意味です。
「現状で充分満足しているので駐車場の収益を上げる必要を感じない」とか、「当社は充分間に合っている(と思っているだけ)から新しい取り組みなど不要」などということを平気で口にする方がほとんどで中には「当方は稼働率が100%で、空きが発生しません」などと豪語される方もいます。
しかしどれ程稼働率が高いと見えても、稼働率が90%を越える物件などそうあるものではありません。
ましてや、公共の駐車場が新たにできればすぐに周辺環境は変わるのですから、畢竟は必要がないのではなく、あらたな取り組みをして問題を解決する意志がないことを意味しています。
業界の大きなビジョンがあり、それに合わせた柔軟な法改正ができ、業界自体の意識や経営能力を上げることができなければ、駐車場不足問題の解決など、机上の空論で、最終的には無駄な税金を投入して効果がでなくてもそれで溜飲を下げるというお定まりの工程を繰り返すだけになるでしょう。
残念ですが、駐車場が不動産業の延長である限り、あぶく銭に踊るだけの無意味な存在で終わるのかも知れません。