駐車場ビジネスに携わっているとよくある質問として「海外の駐車場は日本と同じような仕組みなのですか」というものがあります。
一口に“海外”といっても多くの国がありますし、駐車場のみならず、経済環境や社会環境も違いますので、一括りにはできないのは当然のことですが、少し知るだけで、“日本の特殊性”を知ることができるのですが、多くの事例で日本の消費者の“不利な環境”が浮き彫りになります。その辺りをご紹介しようと思います。
駐車場は車社会の付随スペース
アメリカ西海岸
例えばアメリカ西海岸などは、車社会と言われていていますので、駐車場も優しいかと思いますが、答えはイエスです。
そもそも駐車場自体が街の付随要素です。サンフランシスコやロサンゼルスなどの中心地でも大きな駐車場が完備されていて、特色としては
- とにかく広い。駐車するのにストレスフリー
- 基本前向き駐車なので、やはりストレスフリー(出るときバックというのは、かなり楽です)
- 駐車スペースが通路に対して斜めになっているところが多い
- 場内が明るい(カクテルライトのように遠くまで見通せます)
…などでしょう。市内にある駐車場(pay on footなど)も、場内に白線でラインがひかれているだけです。ですので、価格も安く、ロス市内でも朝から晩まで止めても数百円という場所が多いと言えます。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、また少し違います。意外に思われるでしょうが、例えばドイツなどでは夜の路上駐車は規制されない場所が結構多く感じます。もちろん日中はそうも行きませんが、価格も安く、都市の中心部でも600~800円で朝から夕方まで止められる場所が多いように感じます。
或いは3時間まではフリー駐車のエリアがあり、時間表示カードなどで「私は12時から15時まで止めます」として、見える場所に貼っておいたりすると無料などということもあります。これなどはかなり合理的です。
ニューヨーク
日本の環境に最も近いのはニューヨークかもしれません。中心部などでは、とにかく馬鹿高い価格設定です。土日は少し安いとはいえ、平日では1時間止めて5,000円というのも普通にあります。朝から晩まで止めると100~150ドルというのもあって、日本で言うと20分400円、最大料金設定なしくらいでしょうか。ただニューヨークと日本では都市環境が違いますので、これが地域標準で駐車価格の高い地域として認められるかと言えば賛否の分かれる所でしょう
日本の駐車場が異常な高価格なのは、企業の既得権益か、誤った商慣習が原因か
国・地域による違いがあるとは言え、日本の駐車場の価格は全体からみれば異常な高さであると言えるかもしれません。
例えば日本全国に駐車場がありますが、特にコインパーキングなどはその表示の不明確さによるトラブルの多発なども問題ですし、そもそも全国どこへ行っても、高い設定になっています。
それは車に対する考え方が日本では全く違う事も理由のひとつになります。例えばバンパーひとつにしても、これはショックアブソーバーであるとともに、例えばパリなどでは、駐車する時にバンパーで他の車を押してスペースを作るためのもので、日本のようにバンパーを擦ったからとトラブルになるのとは違います。また駐車場をつくるのに数百万円の投資をするという仕組みも、特殊な事例を除いて海外ではあまり聞きません。
これは企業の既得権益が問題なのか、またそもそも外国のように「駐車場は車社会に付属する機能と考える」のと、日本のように「駐車場も不動産である」という、商慣習の差によるものが問題なのか評価は分かれるでしょう。
しかし日本の消費者が、とんでもなく高い駐車場代を負担しているという認識は持っておいても良いのかもしれません。