新型コロナの影響は多くの業界に、壊滅的な打撃を与えていますが駐車場・コインパーキング業界も例外ではありません。地方都市などはもちろんですが、都市部でも需要の激減が常態化していて、これまでの満車が嘘のように日中ガラガラの状態も珍しくなくなりました。
そこで自然に増えるのが、料金の値下げと別ブランドへの移行です。値下げについては“値下げノボリを上げて”と“いつのまにか値下げ”がありますが、あまり効果は望めません。別ブランドへの移行というのは、これまでAパーキングの看板をつけていたところが、パークBに代わるということです。今は少し減りましたが、少し前まで盛んにおこなわれていました。他社にとられることは、これまで業界では絶対避けたいものでしたが、これほど見通しがつかない状況では“渡りに船”的な対応と言えます。
都市部では値上げで対応も、効果は限定的
逆に一等地や準一等地では値上げもあります。ほかでの落ち込みをカバーできるという読みと、将来的に値下げが必要という政策的なものとありますが、やはり効果は限定的で、都心部の稼働率が60%を超える超優良物件の中には、一気に80%ダウンというようなところもみられています。このまま、新型コロナは数年続くと見られていますが、そのあとに元の需要が戻る保証はないだけでなく、むしろ企業体制の変革で2度と戻らないことも想定される中では、駐車場・コインパーキング自体の存在価値を見直す必要がどうしても出てきます。
節税対策の限界 提供者にくる、業者からの値下げ要請交渉に打つ手はあるか
当たり前のことですが、駐車場・コインパーキングというのは不動産業界です。他社の資産を運営して利益を提供する方法としてパーキングがありますから、この根本が揺らげばビジネスモデルも変わります。しかし、会社の存続を優先すれば(することになるでしょうが)、“他社の資産”を犠牲にせざるを得ず、またそのことは契約書に明記されています。
駐車場新聞では何度か紹介していますが、そうなると現在土地資産を提供されている方々が、その煽りを受けることになります。具体的には業者からの値下げ要請でしょう。契約にもよりますが、ほとんどはサブリースや一括借り上げの定額保証には、価格の見直しがあります。何事もなければ、自動更新でしょうが、思いのほか収益が悪い場所だと、2年ごとくらいに値下げ通達がきます。普通は担当者が聞き合わせをしてからの対応となりますが、これからは業者からの一方的通達になるケースが増えると思われます。
では、そんな一方的なケースに対応方法はあるでしょうか。業者側は“ある”と言います。ご提供者様と充分に話し合い、妥協点を見い出すと言うでしょうが、ここまで事態が悪化すれば、企業側が歩み寄ることは期待できません。そもそも駐車場の提供契約の多くは、一方的に業者側が有利となるように作られていますから、節税対策にとか、ちょっと小銭稼ぎになどで土地を提供した側には打つ手はありません。
業者にスペースを提供しているのであれば、設備投資などに費用がかかっているので、簡単に契約解除ということはできないのかも知れません。しかも資産が土地だけとなると、その活用範囲も限られています。不動産価値が少し持ち直しているような報道もありますが、現実的には急速にその価値を無くしている状況の中、利益がないまま、動けない状態で辛抱するのか、縁を切って、新たな利用方法を考えるのか。今こそその判断が急がれる時期だと言えます。