新聞紙上(ネットの方が多いかも知れませんが)では、セブンイレブンのドミナント搾取の話題が溢れています。ドミナント搾取とはあまり聞きなれない言葉ですが、要するにドミナント戦略とは少し違う、企業の搾取構造のことを言うようです。
セブンイレブンについては、それらのメディアをご覧いただくとして、駐車場新聞には「大手企業のコインパーキングもドミナント搾取ではないか」という旨のご意見が寄せられます。そこで今日は「大手企業のコインパーキングはドミナント? 搾取?」というテーマでお話を進めます。
ドミナント戦略の目的とは
最初に、そもそもドミナント戦略とは何なのかということですが、簡単に言うと「地域を絞って出店して最初は儲け度外視で売上げ、知名度、信用度を上げ、ライバル店を潰しておいて、あとは好き放題にする」ということでしょうか。
いやいやそれは違うという声が聞こえて来るようですが、定義と現実の違いがそこにはあり、問題は多くの日本の消費者が企業のドミナント戦略を、“搾取の仕組み”だと理解しているところにあります。大手のモール事業やチェーン店を含めて、現在日本の代表的な企業の多くが「ドミナント搾取システム」をとっていると言っても大袈裟には聞こえてきません。
では、コインパーキング業界はどうか
結論から言えば、大手企業のコインパーキング事業なども、こうしたドミナント搾取システムをとっていると言えるのではないかと思います。
その理由は「➀土地提供者の不利益」「➁地域の不利益」「③市場の不利益」の画策にあるのだと思います。
前提として、企業活動は元来、力の強いところが勝つ弱肉強食で、そのためには法に触れなければ何をしてもよいのだというスタンスであれば、何も言うことはありません。しかし地域の貢献やお客様の利益や利便性を社是として掲げている企業であれば、そこに事業としての倫理性がなければならないのも道理です。
土地提供者の多くが抱える“土地召し上げられ状態”
一括借り上げなどで、土地活用を任せる場合、土地提供者には初期投資が要らない上に、毎月定額収入が入る仕組みであることは多いでしょう。しかし初期投資がゼロといっても“かかったと想定される金額”はトータルの収益から、負のおまけをつけて差し引かれます。土地をアスファルトで覆い、ロック板や精算機、大きな看板を立ててしまえば、契約もあって簡単に辞めることができません。しかも2年後には収益価格の改定があり、これは基本受け入れざるを得ません。嫌なら違約金が待っています。
地域についても同様で、これらは導入当初、市場参画のために酷く安い値段で提供されます。それは地域価格の半額以下などで、市場独占を狙っているわけです。同じエリアに2~3か所であればまだ影響も少ないのですが、これが10カ所になると、他のところは締めるか、大手に委託するしかありません。
問題なのは、それで市場を独占したら、あとは価格を自由に上げることです。“この四半期、収益が下がってきたから、駐車場価格を上げよう”などとやられた日には、地域の消費者はたまったものではありません。
違法ではない。だが企業倫理はどう?
断っておきますがこれらは“違法”ではありません。しかし、これが“ドミナント搾取”のひとつではないかと思います。搾取が妥当な表現でなければ、“現象”ではどうでしょうか。
しかし、知識のない対象者に契約で縛って、自社の思い通りの収益構造を構成するやり方が利用者や地域にとってよいものではないことは言を俟ちません。
こうした企業の倫理観がやがて企業の不正につながってくるのは、日本の代表的な大手企業の不祥事が毎週のように報道されることと、無関係ではないのだと思います。