地震の後の“専門家”がそうですが、何事も後付けで説明をするのは簡単です。
市場全体の流れの中から“兆候”を察知して、そのあとに起こる必然を推測するのは難しいものです。
しかし見るべきところを曇りのない視点で見ていると未来の予測は比較的簡単と言えます。
その前提で見ると、全国でコインパーキングの稼働率が激減していると言えます。
ここで激減と表現しているのは、“現状では比較的穏やかな変化であるが、このあと一気に症状が悪化してくる”ことが推定されるという意味です。
ドミナント戦略で普及してきたコインパーキング
これまで日本では戦後、車の増加から時間貸し駐車場は増加の一途を辿っていましたが、特に大手企業が「機械式のコインパーキング」を巨大ビジネス化してからは一気にドル箱の業種になりました。
それまで、数々の形態の時間貸し駐車場はあったのですが、いずれも大変安く利用できていたのが、機械を導入して、アスファルトを引き、大きな看板を入れて、それまでの何倍もの価格を払わなくては利用できなくなりました。
やがてバブルの時代も、新たなビジネスを後押しして、全国規模で主たる駅前や施設を含めて、コインパーキングが瀰漫しました。
そして大手企業の価格が基本となり、今に至りました。
そこに入ってきたのが「ドミナント戦略」と言う概念。
つまり、ある地域に進出して周辺より極端に安い価格で運営して、周りがついてこれなくなって撤退した後は好き勝手に価格を上げるというもの。
その頃には、かつてあったような、係員の要る時間貸し駐車場などはほとんど見られなくなりました。
進むコインパーキング離れ
しかし、ここに来て潮流が変って来ました。
それは、全国規模で価格を上げてきたコインパーキング業界が、業界バブル状態で、高価格体質になり、それを維持する為に、益々値を吊り上げてしまって、一気に“コインパーキング離れ”に反転。
一気に加速される事態になりました。
高価格の一例としては、ある都市と地域で月極駐車場価格に4~5倍の開きがあるのに、コインパーキング価格は同じであったり、場所によっては地方の方が高いという逆転現象すら生まれています。
こと自動車やそれに関係する不動産業界も同様の流れがあり、やがて2020年を迎えると、これらも含めて一気に“業界離れ”に発展することが想定され、激減現象は深刻化すると言えます。
再編を迫られるコインパーキングを躍進を続ける駐車場シェアリング
では、それに対しては、どのような対応が必要でしょうか。答えはこれまでの歴史が教えてくれます。
今回もコインパーキング業界は再編を迫られるでしょう。
その間に、「駐車場シェアリング」業界が一気に支持をうけることでしょう。
リーディングカンパニーである「akippa」などは、日本を代表する企業から20億を越える資金提供を受けているのが、その証左といえます。
なかには稼働率に応じて半分をコインパーキングとして、半分を駐車場シェアリングサービスにされているところもあります。
一つの産業が生まれて消えるのには60~70年周期といいます。
戦後、1955年頃始まったとすると、この10年で一気に業界再編が進むというのも、充分可能性があるのでしょう。