経済産業省の推進するJ-Startupは、日本のスタートアップ企業の育成支援プログラムで、昨年、日本のスタートアップ企業10,000社から92社が選出されていましたが、今回新たに49社が追加で選出され、駐車場関連では“駐車場予約アプリakippa”が選ばれました。しかし、これについて駐車場新聞では、別の視点をしてきしたいと思います。
akippa、経済産業省のスタートアップ企業支援プログラム「J-Startup」に選出! | akippa株式会社のプレスリリース
akippa株式会社のプレスリリース(2019年6月24日 15時30分)akippa、経済産業省のスタートアップ企業支援プログラム「J-Startup」に選出!
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例えばこれについて、同社の金谷社長は「私たち困りごと解決企業が世界一になることで、世の中はより良くなると思います。今後も世界一を目指してサービスを提供してまいります。」というコメントを出されていますが、判で押したような言葉には勢いも将来性も感じられないというと厳しすぎでしょうか。
トップベンチャーキャピタリスト、アクセラレーター、大企業のイノベーションの担当者が推薦することになっていますが、これらは、企業投資で利益を上げたり、企業支援する自治体や大企業ですので、単なる“新たな既得権益者”を経済産業省が後押しするだけの結果になることが強く懸念されます。
そもそも日本は国が企業に対する補助や投資が少ないことが取り上げられることが多いのですが、企業投資家などの既得権益層が推薦するようなレベルになった企業に、新たに国が投資するというのは、その上に君臨するのが目的としか考えようがありません。本当に、スタートアップ企業を育成、支援するのであれば、アイデアを活かしたり、資金難のビジョンを補助する、クラウドファウンディング的要因であるべきですから、単に成功事例に相乗りするだけでは意味がありません。
それ以上に心配なのは、このような制度が、せっかく閉鎖的でビジネスセンスでは世界に大きく遅れをとっている日本のスタートアップ企業に芽生えたグローバル意識を、羊が新芽を食べてしまうように、灰燼に帰してしまわないかという点です。
例えば先のakippa株式会社にしても、駐車場シェアリング業界のリーディングカンパニー的な位置づけではあるのですが、本業では一向に業績が伸びず、各社から提供された巨額の資金調達で目先の新事業を追いかけている状態ですので、そこにお国のお墨付きなどが入れば、ますます収益の小さい駐車場シェアリングなどには、これまで以上に力は入らないことになるかも知れません。
いま、経済産業省が進めなければならないことは、“勝ち馬に群がる”組織を作るのではなく、“既得権益者や古い慣習や規制を緩和して、スタートアップ企業を守ること”なのではないかと考えます。