5月20日に岡山県の長泉寺の境内で「第3回南方マルシェ」というイベントが開催されます。
これ自体は地域の様々なお店を集めたイベントですが、3度目の今回は“新しい試み”として、「駐車場を廃止」して「駐輪場を設置」することになり注目を集めました。
駐車場より駐輪場にするわけ
これまでイベントを開催する場合、主催者は広く集客を図るために来場者の駐車場の確保に四苦八苦しているのが現実でした。
その割には需要も一過性のもので、その後一時的に町全体の収益は増えます。
しかし2~3か月もすると前年並みに戻るというのが顛末だったため、こうした判断になったのだと思われます。
実は、全国でも同様の動きが広まっています。
中にはマラソン大会の主催者が駐車場の確保を見送ったところもありました。
確かに「一時的な駐車場の確保」というのは、準備や当日の運営などでも結構なコストがかかります。
これを省いて駐輪場にするのであれば、費用出費も抑えられますし、理解も得られやすいと言えます。
今後、地域の多くのイベントで同様の動きが広がるのではと考えらえれます。
駐輪場にしてはたしてメリットがあるのか?
では、現実論としてはどうでしょうか。
コンセプトの違いは理解するとしても、多くの場合、駐車場を廃止したとして、自転車で行ける人に限定していたのでは、しょせん地域の小さなイベントの位置づけに終わってしまいます。
結果、駐車場コストは抑えられても全体収益はそれに輪を書いて縮小されます。
駐輪場だけにしても「車」はやってくる
もっと問題なのは路上駐車です。
いくら駐輪場にするとしても、やはり情報社会ですから、そこでイベントがあれば多くの車が来てしまいます。
主催者側の駐車場がなければ周辺のパーキングになるのですが、そもそもそれがいっぱいになったり、コインパーキングの価格が高すぎる場合もあって、違法駐車が激増します。
住宅街や私有地であれば警察は民事不介入なので単なる迷惑駐車となります。
そして駐輪場は意に反してガラガラという状況になってしまいます。
イベントのチャンスを活かせるかは出店者の問題
そもそも先の述べた「2~3か月で町全体の収益が元に戻る」というのは、来場される方の問題ではなく、一時的とはいえチャンスを活かせない側の問題です。
それが証拠に、同じイベントでもウェブで宅配できる商品を前に押し出して、来店がなくても売り上げを少しずつあげているお店が、どこのイベントでも数軒はあるのです。
これはイベントを主催する側の責任意識の欠如と言われても止むを得ないでしょう。
そもそも、地方の商店街イベントやマラソン大会に来る人への対応は従来のパーキング環境で対応すればよいことで、それで処理ができなければ車での入場を制限するのが筋です。
それをイベントをするからと言って、一部の企画担当者が地域が持っている処理能力を越えようとすることは、地域の混乱が増すだけの間違った企画だと言う事に気づかなければなりません。
この傾向はいまのところ小さな傾向に他なりませんが、軽視しているとイベントそのものの存在価値が問われることになるので注意が必要です。