“akippaの CEO、金谷元気氏が一般社団法人シェアリングエコノミー協会の幹事に就任”という記事をみました。金谷氏はakippaで他社とは違った視点で駐車場シェアリングサービスの仕組みを作り上げ、業界のリーディングカンパニーに上り詰めた感がありますが、残念ながら資金調達は進むのですが、いくらベンチャー企業とは言え、本業の数値の改善に問題があります。氏がシェアリングエコノミー協会の幹事の立場で多くの方と問題を共有するなかで、事業改善の道筋に到達していただければと願います。
“シェアリングエコノミー協会の組織は限定的?”と言われる意味
シェアリングエコノミー協会とは
シェアリングエコノミーとは、インターネット上のプラットフォームを介して個人間でシェア(賃借や売買や提供)をしていく新しい経済の動きです。シェアリングエコノミーは、おもに、場所・乗り物・モノ・人・スキル・お金の5つに分類されます。あらゆる資産を共有する「シェア」の考えや消費スタイルが日に日に広がりを見せている中、シェアリングエコノミー協会は、この流れをこれからの日本経済の発展につなげられるよう、法的な整備をはじめ、皆が前向きに活動していける土壌をつくるために設立されました。
(同協会HPより引用)
なるほど、シェアリングエコノミー協会のレーゾンデートルには純粋に、未来社会への期待が感じられるのですが、ここに大きな問題があると言われています。その一つは「シェアリングエコノミー協会の組織が限定的」というのがあります。“限定的”とは噛み砕くと「シェアリングエコノミー産業に参画するベンチャー企業の東京・都市部のお仲間会」の臭いがあるということのようです。確かに同協会の構成員やイベントを見ても全国を対象としているようには見えません。まるで東京の仲間うちの集まりに感じるからです。
協会の力を“シェアリングエコノミーの根幹の危機”に向けよ
筆者を含めて現在のシェアリングエコノミーサービスの現状は、信頼(トラスト)の点で、お世辞にも透明性や仕組みが確保されているとは言えません。シェアリングサービスはユーザー同士がレビューを通して信頼の担保ができることが、この業界の重要な柱であったはずです。しかし現在では、お金を積めば、この信頼の柱を自由に操ることができます。これはシェアリングエコノミー協会の責任ではありませんが、そうした“フェイクトラスト”は、少なくとも今、シェアリングエコノミー協会に関係されている大手企業が利用していることは間違いありません。レビューの信頼性などはレビューの問題だから、自分達の事業とは無関係という姿勢を決め込んでいてよいものではありません。
同じ轍を踏む国際標準化の論議過程
ISOの技術委員会では、こうしたシェアリングエコノミーの国際標準化の議論がまさに始まったばかりで、予定としては2020年(遅くはないか)にもガイドラインを発表するといってはいますが、その立ち上がりから問題が続出しています。日本側はガイドライン策定を優先したいようですが、この場合はシェアリングエコノミーの用語の定義がなにを置いても大前提になるのは常識です。国際標準化を前提に各国と議論しなければならない中で、そこからスタートしている現実は的外れという批判も理屈が通ります。
一部には正確なレビューの絞り込み技術は確立しつつあるとも言われます。絞り込みが可能となれば次は、ファクトチェックが課題となり、これが“曲者”です。絞り込みをシステマティックにしたとしても、最終的な確認作業には今のところAIでは対応できない領域です。現実的には、この作業は当然膨大なものとなります。ですので、その解決には“理屈”ではなく、“助け”が重要になってきます。
業界をあげてこの問題に立ち向かう覚悟を
シェアリングエコノミー協会は、現実のデーターをたくさん持っています。それを出すと、事実の隠蔽をしてきたのかという非難も起こるでしょう。この問題はすでに人工知能の分野における記号接地にあたりますので、この照合は不可欠となり、各企業の持つデーターを各社が率先して解決しなければ、とてもその解決は望めないかも知れません。しかし、レビューのトラスト問題は、この業界の根幹であり、ある日突然、その信頼が崩壊するのがIT社会の現状ですから、各社とも積極的にこの問題に立ち向かってほしいと考えます。
シェアリングサービスのレビューの問題は、信頼の問題だけに、その対応には困難を伴います。現実的な方策としては「レビューと実社会の事実を照合しなければならない」と言う問題があり、それが大きなネックとして立ちはだかります。今一度、シェアリングエコノミー協会が、協力して、この大きな問題に取り組み、10年先に“シェアリングエコノミー協会があったのに、なぜ信頼が崩壊したのだ”と言われないような活動を望みます。