最近、様々な業者から太陽光発電の勧誘があり、いくつも説明を聞き、また役所などに聞いても有利なような気がします。駐車場新聞さんでは、投資としての駐車場業投資と太陽光発電についてはどのようにお考えですか。
A. ご質問者はすでに太陽光発電に気が向いておられるように見えますが、どのような勧誘を受けているかが分かりませんので、一般的なご質問として“駐車場経営を止めて、これから新たに太陽光発電を始めることをどう思うか”という内容であるとしてお答えします。
まず、太陽光発電と駐車場経営については完全に切り離して考えねばなりません。
駐車場経営がうまくゆかないから、太陽光にというのは単に『隣の芝生』に過ぎないからです。
その上で、太陽光発電について客観的に見ると、もうすでに太陽光発電が有効な投資対象になる時期は終わっていると考えるべきだと考えます。
太陽光発電はすでにその施行から10年を経ていて、確かに最初の数年間はその投資効果はありましたが、すでにこれからでは収益はあげられないと考えても間違いはないかと思われます。
太陽光発電はその初期には電力会社などが地域の既得権益者を中心に広めてゆき、また各種の補助金もでました。
その為申請にあたっては膨大な書類を揃えなければなりませんので、とても個人では対応はできないものでしたが、一旦申請が通ればまずまず収益に繋がった時期もありました。
その為、権利を取得しても多くの場合、それを転用などするケースが相次ぎましたが、一応の収益の見通しはついていました。
しかし、5年目くらいからは、その実態も露呈してきていて、やはり初期投資費用やンテナンス費用が相変わらずかかります。
しかも前提となる電力買取価格の下落、周辺住民との軋轢などもあり、外部に委託するケースも相次ぎました。
しかし現在では電力の買取価格も激減していて、また多くの補助金もなくなり、収益にはつながるとは言えません。
あまり収益が見込めない事業でも、一旦着手すれば、初期設備費やメンテナンス費用も高く、容易に撤退できないという意味では、コインパーキングと似た構造ですので、理解はし易いかと思います。
ではなぜいま、ネットなどでは太陽光発電の収益性が喧伝されているかと言えば、それはネット独特の宣伝方法だからです。
ネットの情報を疑わない人はそれを信用してしまうのを利用しているに過ぎないと言えます。
もしそれをご確認されるのであれば、業者が出してくる見積書(業績予測ではありません)などの、必要出費表と収益予測表を同時にコンサルなどに見てもらって下さい。
おそらく穴だらけの状態だという指摘になると思います。
また、こちらの把握している情報には、地盤調査をしっかりしていなかったためパネルが傾くだとか、山を削って太陽光発電をした結果、雨天時の赤土の流出が地域問題化しているなどという環境への悪影響問題なども報告されています。
ご質問者におかれては、そもそもどの程度の事業規模を想定されているかは不明ですが、太陽光発電は落し穴の多い分野であるとともに、月極駐車場とは比較にならないくらいの出費が必要になりますので、充分冷静なご検討をされることをお勧めします。
そもそも月極駐車場の稼働率が低くなっているということでしたら、「akippa」などの駐車場シェアリングサービスと併用して時間貸し化してみることをまずお勧めいたします。